Japanische Klassiker mit Furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme
しかしあの時の二百両で諸方の借金を払ったのでどこからもガミガミ催促には来ない。それで昨今の生活振りは案外暢気というものであった。
「おい三右衛困ったな。ちっとも好運がやって来ないじゃないか」
時々紋太郎がこんなことを云うと却って用人三右衛門の方が昔と反対に慰めるのであった。
「なあに旦那様大丈夫ですよ。米屋も薪屋も醤油屋も近頃はこちらを信用して少しも催促致しませんので。一向平気でございますよ」
「どうやら米屋醤油屋が一番お前には恐いらしいな」
「へい、そりゃ申すまでもございませんな。生命の糧でございますもの」
「腹が減っては戦は出来ぬ。ちゃんと昔からいっておるのう」
大御所家斉公
ある日、紋太郎は吹筒を携え多摩川の方へ出かけて行った。
多摩川に曝す手作りさらさらに何ぞこの女の許多恋しき。こう万葉に詠まれたところのその景色のよい多摩川で彼は終日狩り暮した。
「さてそろそろ帰ろうかな」
こう口へ出して呟いた頃には、暮れるに早い秋の陽がすっかり西に傾いて、諸所に立っている森や林へ夕霧が蒼くかかっていた。そうして彼の獲物袋には、鶸、鶫、などがはち切れるほどに詰まっていた。