Japanische Klassiker mit Furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme
いつもにない早口のよそを見ながら云う調子の妙なのに女は妙なかおをしながら、
「アラそんな事はございませんよ、誰が申しました。私は一人で淋しくなきながら貴方の御かえりを待って居りましたのに」
「ほんとにさぞ淋しくかなしかったことでしょう、いたちの道切りをされた時には」
「貴方今日どう遊ばしたんですの、紫の君の着物を御もらいになったのでどうか遊ばしたんでしょう」
「…………」
「私はどんなに貴方を思って居るか、御わかりになりませんの。
ほんとうに私はどれほど貴方を思って居りましょうか、どうぞ哀れとお思いになって下さいませ」
「…………」
「私はあなたのそのまぼしい様にお美くしい御かおを見て身にしみる様に、そのうつり香をかぐ時私は私はマアほんとうに」
女は青筋の沢山出た手で光君の手をとった。光君はだまって手をとられて居たが、いきなり女君をつきとばすようにして立ちあがり、
「よろしく、御腹の赤さんに」
と云って戸のそとに走り出てしまわれた。廊を走って行く足音がどこまでもつづく。
(十二)
フラフラしながら部屋にかえって来た男君は集って居る女達に一言も云わないで、几帳のかげに入ってしまった、身じろぎの音もしない。