Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lesen Sie 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.188 Zeichen · 43 Bildschirme
室を二つ三つ明けてあげるから当分それへ入っていて、ゆるゆる空家を探すのがいいだろうと親切に云ってくれた。それで僕たちは、島の斜面に建っている豪勢な洋館へ案内され、そこで三室ほど貸しあたえられた。なんでも森おじさんは、内地にいた頃とは違って、たいへん成功し、この島の中では飛ぶ鳥落とす勢力があり、何でもおじさんの思うとおりになるそうだ。
一と月あまり、それでも物珍らしく楽しい日を送ったが、或る日のこと、母親は下町へ行って、僕一人で留守番をしていたことがあった。僕は留守番というのがたいへん好きだった。実はすこし悪い病であるが、留守をしながら、いつもは手をつけては怒られるような戸棚の中や梱の底などをソッと明けてみるのが非常に楽しみだったのである。その日も留守を幸い、こっそり僕等の部屋を抜けだし、森おじさんの書斎へ忍びこんで、散々に秘密の楽しみを味わった後、そこにあった安楽椅子に豪然と凭れて、おじさん愛用の葉巻をプカプカやっていた。すると誰もいないと思っていた扉が急に開いて、その向うから突然四五人の詰襟服の男が現われ、僕の顔を見ると、
「ああ、此奴だ。こいつを連れてゆくのだ。