Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lesen Sie 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.188 Zeichen · 43 Bildschirme
「それは、森おじさんの戸棚の中で拾ったものですよ」
「森おじさんというと……」
「ゆうべお話した森虎造のことですよ。僕の母親が、いま泊っている筈の家です」
「ああ、そうですか。……貴方は森虎造の戸棚の中に、これと一緒にあった美しい貼り交ぜをしたこれ位の函を見ませんでした?」
といって尼は、弁当函ほどの箱の大きさを手で示した。彼女の云うので思い出したが、僕が森虎の戸棚探しを始めて間もない頃、一つのトランクの中に、いま話のような美しい小函を見つけたことがあった。それは玩具のように美しかったので覚えている。手にとりあげてみると、たいへん軽かった。開けようとしたが錠がかかっていた。耳のところで振ってみると、コソコソと微かな音がした。大したものも入って居らぬらしく、それにそのときは鍵が見つからなかったので、そのまま元のようにして置いた。その後、そのトランクに錠がかかって、もう見られなくなった。――僕は尼がその函のことを云っているのだと思った。しかしそれにしても、何故そんな函のことを隆魔山の尼僧が知っているのだろう?
僕が黙っているのを見ると、秀蓮尼はジリジリと膝をのりだして、いきなり僕の腕を捉えた。