Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かぎからぬけだしたおんな

鍵から抜け出した女

海野 十三

Lesen Sie 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.188 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

それッ……」

と叫んだ。その声の下に、ドッと飛びこんできた詰襟服の一団は、有無をいわさず手どり足どり、僕を担ぎあげて、表に待たせてあった檻のような自動車の中に入れてしまった。僕はあまり思いがけない仕打ちに愕いて、大声で喚きたてたが、母親は不在だったし、それから生憎と森おじさんも留守だったので、誰も僕の味方になってくれる者もなく、結局僕を知らない連中は、あれが変なのかといわぬばかりに好奇の眼を輝かせて見送るばかりで、誰一人僕を助けてくれるものはなかった。そうして僕は、やすやすとこの精神病院に入れられてしまったのだった。

「僕は気が変じゃないぞ。早く母親を呼べ。――僕を変だと診断するのか。そんな院長こそ変だ!」

僕は腹立ちまぎれに、そんな風に怒鳴りちらした。だが、その結果は反ってよくなかった。僕はますます気が変のように見られ、しまいには自分自身でも、或いは僕は変になっているのじゃないかと錯覚を起こしたくらいだった。

はじめは腹が立って腹が立って、ろくろく飯も咽喉を通らなかったが、そのうち、いつとはなしに諦めの心ができて、乱暴することを控えるようになった。