Japanische Klassiker mit Furigana
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かぎやのつじ
鍵屋の辻
直木 三十五
Lesen Sie 鍵屋の辻 (かぎやのつじ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.524 Zeichen · 25 Bildschirme
又右衛門が鍵屋の辻で、
「半兵衛に決して槍をとらすな」
とその為めに孫右衛門、武右衛門の二人にかからせたのでも判る。
又五郎は一二カ所に匿れ忍んで居たが面白くなかったり主人に死なれたりして結局又江戸へ戻ったらという事になった。江戸御構いというものの黙って入ってこっそり隠れて居れば旗本の同情があるから判りっこはない。田舎で目に立ってびくびくしているよりもその方が利口である。頭山満(とうやまみつる)の邸へ逃込んだ印度人がとうとう判らなくなったり、早大の佐野学が某所に匿(ひっこ)んでいるんだなどと噂やら事実やらとにかく東京で有力な人の袖に縋(すが)れば、安全な事今も昔も大した変りはない。荒木は又五郎の動静を主として甚左衛門の一止一動によって知ろうとした。甚左衛門も寛永の武士気質をもっている立派な男である。又五郎へ義理立てて浪人してからは又五郎の居る所に必ず附いて行く事にしている。又右衛門は甚左衛門と同家中だから敵の顔を知らぬ上に於て、甚左の意地張(いじば)って又五郎の前に立っているのを利用するにかぎる。甚左衛門はそうと知っているがそれを避けて匿れる程の策も持たない。