Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かぎ

鍵

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 鍵 (かぎ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.182 Zeichen · 200 Bildschirme

Aozora Bunko

、血色が悪く、皮膚に少しも弾力がない。白い下から紅みがさしている木村さんの皮膚にはつやつやとした潤いと膩味があるのに、青黝い夫の皮膚は金属性に乾き切っている。アルミニュームのようにツルツルなのが今もって気味が悪い。私には夫を嫌悪する気持と愛する気持とが相半ばしていたのであったが、この頃は日々嫌悪一方に傾いて行きつつある。………あゝ、私はおよそ自分とは性の合わない、何という嫌な人を夫に持ったのであろう、もしこの人の代りに木村さんが夫であったらと、日に何度となく溜息が出る。………

………ここまで来てもまだ私は最後の一線を越えずにいる、―――と云ったら、夫はそれを信じるであろうか。が、信じようと信じまいとそれが事実なのである。もっとも「最後の一線」というのは、非常に狭義に解釈しての、ほんとうの最後の線であって、それを犯さない限りにおいてなさざるところなしと云ってもよいかも知れない。それというのが、封建的な両親に育てられて来た私の頭には、因襲的な形式主義がいつまでもコビリ着いていて、精神的にはどうあろうとも、肉体的に、夫が常に口癖にするオーソドックスの方法で性交をさえ行わなければ、貞操を汚したことにはならないという考えが、どこかに潜んでいるからである。