Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
吹流しの紙の鯉も金巾の鯉も積んである。その中で金巾の鯉の一番大きいのを探し出して、小兵衛は手早くその腹を裂いた。
「さあ、このなかにおはいりなさい。」
弥三郎は鯉の腹に這い込んで、両足をまっすぐに伸ばした。さながら鯉に呑まれたかたちだ。それを店の片隅にころがして、小兵衛はその上にほかの鯉を積みかさねた。
「叔父さん、うまいねえ。」と、文字友は感心したように叫んだ。
「しっ、静かにしろ。」
言ううちに、果してかの二人づれが店さきに立った。二人はそこに飾ってある武者人形をひやかしているふうであったが、やがて一人が文字友の腕をとらえた。
「おめえは常磐津の師匠か。文字友、弥三郎はここにいるのか。」
「いいえ。」
「ええ、隠すな。御用だ。」
ひとりが文字友をおさえている間に他のひとりは二階へ駈けあがって、押入れなぞをがたびしと明けているようであったが、やがてむなしく降りて来た。それから奥や台所を探していたが、獲物はとうとう見付からない。捕り方はさらに小兵衛と文字友を詮議したが、二人はあくまで知らないと強情を張る。弥三郎はひと月ほど前から家を出て、それぎり帰って来ないと文字友はいう。