Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
」
「その次の幕はゆすり場ですね。」
「話の腰を折っちゃあいけない。しかしお察しの通り、由兵衛は一旦自分の家へ引揚げて、日の暮れるのを待って本所番場の裏長屋へたずねて行った。
十一月十日、その日は朝から陰って、時々にしぐれて来る。このごろは景気がいいので、友蔵も幸吉もどこへか飲みに出かけて、お常ひとり留守番をしている。思いも付かない人がたずねて来たので、お常もすこし驚いたが、まさかにいやな顔も出来ないので、内へ入れてしばらく話していると、由兵衛は例の虎の子の一件を言い出した。
その種を割って世間へ吹聴すれば、折角の代物に疵が付く、人気も落ちる。由兵衛はそれを匂わせて、幾らかいたぶるつもりで来たのだ。
これにはお常も困った。折角大当りを取っている最中に、つまらない噂を立てられては商売の邪魔になる。もう一つにはお常も人情、むかしは世話になった由兵衛が左前になっているのを知ると、さすがに気の毒だという念も起る。殊にこのごろは自分たちの懐も温かいので、お常は気前よく十両の金をやった。それには虎の子の口留めやら、むかしの義理やら、いろいろの意味が含まれていたのだろうが、十両の金を貰って、由兵衛はよろこんだ。