Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
せいぜい三両か五両と踏んでいたのに、十両を投げ出されたのだから文句はない。由兵衛は礼をいって素直に帰った。
長屋の路地から表へ出ると、丁度そこへ友蔵が帰って来た。二人がばったり顔をあわせると、由兵衛は友蔵にむかって、『やあ、友さん、久しぶりだ。実は今おかみさんから十両貰って来た。どうも有難う』と、礼をいうのか、忌がらせをいうのか、こんな捨台詞を残して立去った。それを聞かされて、友蔵はおもしろくない。急いで家へ帰って来て、なぜ由兵衛に十両の金をやったと、女房のお常を責める。お常は虎の子の一件を話したが、友蔵の胸は納まらない。たとい口留めにしても、十両はあまり多過ぎるというのだ。
由兵衛が他人ならば、多過ぎるというだけで済んだかも知れないが、由兵衛とお常とのあいだには昔の関係があるので、そこには一種の嫉妬もまじって、友蔵はなかなか承知しない。亭主の留守によその男を引入れて、亭主に無断で十両の大金をやるとは不埓千万だ。てめえはきっと由兵衛と不義を働いているに相違ないと、酔っている勢いでお常をなぐり付けた。すると、お常は赫となって、そんなら私の面晴に、これから由兵衛の家へ行って、十両の金を取戻して来ると、時雨の降るなかを表へかけ出した。