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Japanische Klassiker mit Furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme

Aozora Bunko

「おまえさん。確かに鼠ですよ。」と、お此は気味悪そうにささやいた。

「むむ。そうらしい。」

それぎりで夫婦は再び枕につくと、やがてお此は再び夫をゆり起して、今度は鼠が自分の顔や頭の上をかけ廻るというのである。それが夢でもないことは、今度も七兵衛の耳に鼠の足音を聞いたのである。もう打捨てては置かれないので、七兵衛は床の上に起き直って枕もとの燧石を擦った。有明行燈の火に照らされた蚊帳の中には、鼠らしい物の姿も見いだされなかった。念のために衾や蒲団を振ってみたが、いたずら者はどこにも忍んでいなかった。

「行燈を消さずに置いてください。」

言い知れない恐怖に襲われたお此は、夜の明けるまで、一睡も出来なかった。七兵衛もそのお相伴で、おちおち眠られなかった。この頃の夜は短いので、わびしい雨戸の隙間が薄明るくなったかと思うと、ぬき足をして縁側の障子の外へ忍び寄る者があった。お此ははっとして耳を傾けると、外からそっと呼びかけた。

「おかみさん。お眼ざめですか。」

それはお国の声であったので、お此は安心したように答えた。

「あい。起きています。なにか用かえ。」

「はいってもよろしゅうございますか。