Japanische Klassiker mit Furigana
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うし
鎧櫃の血
岡本 綺堂
Lesen Sie 鎧櫃の血 (うし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.702 Zeichen · 99 Bildschirme
相当に飲む治三郎もしまいには酔い倒れてしまった。
大仏の八つ(午後二時)の鐘が山の葉桜のあいだから近くひびいた。
「もう帰ろう。」と、一同は立上がった。
治三郎は正体もなく眠っているので、無理に起すのも面倒である。山は眼の前であるから、酔いがさめれば勝手に帰るであろう、と他の三人はそのままにして帰った。置去りにされたのも知らずに、治三郎はなお半時ばかり眠りつづけていると、彼は夢を見た。
その夢は「一話一言」と同じように、八百屋お七が鶏になったのである。首だけは可憐の少女で、形は鶏であった。
「お断り申して置きますが、わたしが蜀山人の〈一話一言〉を読んだのは明治以後のことで、その当時はお七の鶏のことなぞは何にも知らなかったのです。」と、治三郎老人はここで注を入れた。
治三郎は勿論お七の顔なぞ知っている筈はなかったが、その少女がお七であることを夢のうちに直感した。さっき参詣してやったので、その礼に来たのであろうと思った。場所はどこかの農家の空地とでもいいそうな所で、お七の鶏は落穂でもひろうように徘徊していた。かれは別に治三郎の方を見向きもしないので、彼はすこしく的がはずれた。