Japanische Klassiker mit Furigana
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
Lesen Sie 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.305 Zeichen · 66 Bildschirme
脚がかりもないのに巧なもので。――そうすると、見失った友の一羽が、怪訝な様子で、チチと鳴き鳴き、其処らを覗くが、その笠木のちょっとした出張りの咽に、頭が附着いているのだから、どっちを覗いても、上からでは目に附かない。チチッ、チチッと少時捜して、パッと枇杷の樹へ飛んで帰ると、そのあとで、密と頭を半分出してきょろきょろと見ながら、嬉しそうに、羽を揺って後から颯と飛んで行く。……惟うに、人の子のするかくれんぼである。
さて、こうたわいもない事を言っているうちに――前刻言った――仔どもが育って、ひとりだち、ひとり遊びが出来るようになると、胸毛の白いのばかりを残して、親雀は何処へ飛ぶのかいなくなる。数は増しもせず、減りもせず、同じく十五、六羽どまりで、そのうちには、芽が葉になり、葉が花に、花が実になり、雀の咽が黒くなる。年々二、三度おんなじなのである。
……妙な事は、いま言った、萩また椿、朝顔の花、露草などは、枝にも蔓にも馴れ馴染んでいるらしい……と言うよりは、親雀から教えられているらしい。――が、見馴れぬものが少しでもあると、可恐がって近づかぬ。一日でも二日でも遠くの方へ退いている。