Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かがみもち

鏡餅

宮本 百合子

Lesen Sie 鏡餅 (かがみもち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.163 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうしたかね、差入れ、受けつけた?」

ときいた。

「まだまだそれどころじゃないってさ」

サエは立ったまま襟巻とコートを古風な箪笥の前へぬぎ、火鉢のそばへわりこみながら答えた。

「――五日ぐらいすりゃ、大抵いいもんだがな」

洋服の背中を窓際によせかけ、立てた両膝を抱えた進がゆっくり云った。

「――正月は休むからね……その調子だと七日ぐらいまで駄目かも知れないね」

佐太郎は組合の関係でやられ、今は病気で保釈中なのであった。

「おまささんは?」

「正月の御馳走を買いに行ったよ。――予定よりあまして帰れば、それで俺が散髪に行けるんだがな」

皆して喋っているうちに、サエは丸い顔をしかめ足袋の踵を片手でおさえながら、

「あんたのところにメンソレない?」

と云った。

「どうしたんだね」

「あかぎれがポッポして……」

サエは体をねじって片足だけ足袋をぬぎ、踵のあかぎれへ丁寧にメンソレータムをぬりこんだ。頬などの色艶はいいサエの顔にあわせ、そのあかぎれは大きくて、痛々しかった。

サワ子が、それを見て、

「あれ」

と羽織の袖口で口のはたを被うような恰好をした。

「どうしてまたそんなになるんだろ……」