Japanische Klassiker mit Furigana
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ながさきのいんしょう
長崎の印象
宮本 百合子
Lesen Sie 長崎の印象 (ながさきのいんしょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.996 Zeichen · 28 Bildschirme
福済寺、大浦、浦上天主堂への紹介を得、宿に帰った。
独りで待たされていたY、退屈しぬき、私の顔を見るといきなり云うことには、
「――どうだった? プティ・ペダント」
二時頃から小糠雨が降り出す。長崎に切支丹伝道が始って間もなく建った、とーどのさんた寺の跡だという春徳寺や、怪談の絡まる切支丹井戸の在る本蓮寺などへ行って見る予定を変え、悠くり家居することにした。宿の高い欄干から外を眺めると、雨にけむる湾内の景色が見渡せる。眼下は、どこか人家の背戸だ。荒壁のうしろに、小さい一枚畑があって蔬菜が作ってある。手拭をかぶった女子が、雨にかまわず畝のところにかがんで何かしている。それがいつまでも遙か下の方に小さく見えた。
雨中、福済寺を見る。やはり黄檗宗で、明の帰化人、陳冲の子頴川藤左衛門が尽力して盛大ならしめた寺だ。門前で俥を下り、高い石段を登りつめて甃の道を左に数歩行くと、大観門から左右に廻廊のある青蓮堂が眺められる。黒い甃と朱の建物が、明るい細雨に濡れて一種の美しさを漂わせていた。私共は大庫裡の森とした土間に立って案内を乞うた。二声三声呼ぶと、ことこと階子を下りて来る子供の跫音がする。