Japanische Klassiker mit Furigana
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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Lesen Sie 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) von 長谷川 伸 (はせがわしん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.753 Zeichen · 192 Bildschirme
だけどねえ、癪だねえ。
三蔵 叱ッ、裏の方で足音がした。(手許に引きつけてある長脇差を提げ、そっと裏口をのぞきに行く)
おきぬ どう。――え? (太郎吉を庇って聞く)
三蔵 だれもいねえ。お月様が昼間のように川の水を照らしていらあ。
おきぬ まあよかった。(荷づくりにかかる)
三蔵 (おきぬの拵えた風呂敷包を見て)駄目だよ。おきぬ。そんなデカい風呂敷包をこしらえちゃいけねえや。
おきぬ だって、太郎吉の物ばかりだよ。あたしの物なんか二、三枚しかはいってやしないよ。
三蔵 斬り込みをかけられる矢先なんだぜ。可哀そうだが坊主の物も着換一枚ぐらいにしてくれ。――いくら持って出た処で、土地を離れねえうちにあいつ等に出会ったら、命の亡くなる親子三人だ。諦めて大抵の物は捨てて行けよ。
おきぬ あたしなんか着のみ着の儘でもいいよ。だけど太郎吉だけは、――不自由な目に合せてやりたくないからねえ。
三蔵 そりゃ尤なことだが、なあおきぬ。親分がお召捕りになってから落目の上に落目となった中ノ川一家、今じゃ身内てのは俺がたった一人なのだ。親分が娑婆の風に吹かれている頃は、中ノ川の身内で五本の指に折られた俺だった。