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Japanische Klassiker mit Furigana

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まぶたのはは

長谷川伸傑作選 瞼の母

長谷川 伸

Lesen Sie 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) von 長谷川 伸 (はせがわしん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.753 Zeichen · 192 Bildschirme

Aozora Bunko

狭き廊下を隔てて、安どまりの主人の部屋がある。空地に似た疎雑な、庭よりそれ等を見たる態。庭にある一株の桜は花がすこし綻びかけている。一方の座敷におきぬが、蒲団の上に坐って、やがて生れる子のために自分の半纏をほどき、産衣代りに縫っている。安どまりの女房おろくが、安産のお守を柱に貼りつけている。

おろく こうやっておけば安産は請合いだ。その積りでいい子供を産むのだよ。なにお前、初産ではなし、二度目だからきっとお産は軽いだろう。

おきぬ 有難うございます。いろいろお世話になるばかりで。――済みません。屋根代も大分借りになっていて――。

おろく そんなことを産婦が気にすることがあるものか。屋根代の心配は女房の役じゃない、亭主の役だという処だが、生憎と時さんは亭主じゃなかったっけね。

おきぬ おかみさん。時さんとわたしが夫婦なら何ですけど、去年の秋下総を出てから今まで、旅から旅を一緒に歩いてはきましたが、どうという仲ではなし、それだのにああやって、わたし達母子のために身を落して、面倒をみてくれるのですもの。考えると――一層わたし達が死んでしまった方が、時さんには肩抜けだと思うことも度々ですが、可愛い太郎吉が不憫だし、死んだ亭主の胤を暗から暗へやるのも情けないし、済まない済まないと思いながら、時さんにばかり苦労をかけています