Japanische Klassiker mit Furigana
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あなんとじゅじゅつしのむすめ
阿難と呪術師の娘
岡本 かの子
Lesen Sie 阿難と呪術師の娘 (あなんとじゅじゅつしのむすめ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.425 Zeichen · 58 Bildschirme
だから渚が判らない。潮が干る時、渚の塵埃が目につくであろう。
娘 ――何と仰しゃってもわたくしの心は動きません。二人は宿命の上に立って居るのでございます。(懐より餅を取り出す。)阿難さま。これはあなたがわたくしに下された餅でございます。あなたは二つ付いたこの餅を、何と御覧なさいます。
阿難 ――わたしは清らかな繭と見る、また峯を連ねた雪の山だ。
娘 ――いいえ、この餅は二人のえにしの現われなのでございます。
阿難 ――いいや繭だ、雪の山だ。
娘 ――いいえ、これこそえにしの現われです。
(老女、銅刀を持って二人の中に立つ。両の乳房に血が染まって居る。)
老女 ――若い者等の口争い、見て居て歯痒い。娘よ。しばらく退くが宜い。わたしは阿難に話すであろう。
(老女改めて阿難の方に向き直る。)
阿難どの、今わたしはあなたに三つの道を与える。そしてあなたは、そのうちでただ一つの道だけ選ぶことが出来る。
阿難 ――何という権柄ずくの言葉だ。
老女 ――わたしは「母性」の名に於てこの事を申し出る。あなたの母御と同じ資格である「母性」に坐して申し出る。あなたも母なるものの心を汲み取って、この答えをして欲しい。