Japanische Klassiker mit Furigana
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いんえいらいさん
陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 陰翳礼讃 (いんえいらいさん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.020 Zeichen · 61 Bildschirme
たま/\それが美少年の能役者だと、肌理のこまかい、若々しい照りを持った頬の色つやなどがそのためにひとしお引き立てられて、女の肌とは自ら違った蠱惑を含んでいるように見え、なるほど昔の大名が寵童の容色に溺れたと云うのは此処のことだなと、合点が行く。歌舞伎の方でも時代物や所作事の衣裳の華美なことは能楽のそれに劣らないし、性的魅力の点にかけてはこの方が遙かに能楽以上とされているけれども、両方をたび/\見馴れて来ると、事実はそれの反対であることに気が付くであろう。ちょっと見た時は歌舞伎の方がエロティックでもあり、綺麗でもあるのに論はないが、昔はとにかく、西洋流の照明を使うようになった今日の舞台では、あの派手な色彩がやゝともすると俗悪に陥り、見飽きがする。衣裳もそうなら、化粧とてもそうであって、仮に美しいとしてからが、それが何処までも作った顔であってみれば、生地の美しさのような実感が伴わない。然るに能楽の俳優は、顔も、襟も、手も、生地のまゝで登場する。されば眉目のなまめかしさはその人本来のものであって、毫もわれ/\の眼を欺いているのではない。故に能役者の場合は女形や二枚目の素顔に接してお座がさめたと云うようなことは有り得ない。