Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いんえいらいさん
陰翳礼讃
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 陰翳礼讃 (いんえいらいさん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.020 Zeichen · 61 Bildschirme
水気を絶対になくすることと飯を完全に冷ますことさえ忘れなければいゝので、試しに家で作ってみると、なるほどうまい。鮭の脂と塩気とがいゝ塩梅に飯に滲み込んで、鮭は却って生身のように柔かくなっている工合が何とも云えない。東京の握り鮨とは格別な味で、私などにはこの方が口に合うので、今年の夏はこればかり食べて暮らした。それにつけてもこんな塩鮭の食べかたもあったのかと、物資に乏しい山家の人の発明に感心したが、そう云ういろ/\の郷土の料理を聞いてみると、現代では都会の人より田舎の人の味覚の方がよっぽど確かで、或る意味でわれ/\の想像も及ばぬ贅沢をしている。そこで老人は追い/\都会に見切りをつけて田舎へ隠棲するのもあるが、田舎の町も鈴蘭燈などが取り附けられて、年々京都のようになるので、そう安心している訳には行かない。今に文明が一段と進んだら、交通機関は空中や地下へ移って町の路面は一と昔前の静かさに復ると云う説もあるが、いずれその時分にはまた新しい老人いじめの設備が生れることは分りきっている。結局年寄りは引っ込んでいろと云うことになるので、自分の家にちゞこまって手料理を肴に晩酌を傾けながら、ラジオでも聞いているより外に所在がなくなる。