Japanische Klassiker mit Furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme
男の方は大変な惚方なのよ。もっとも家同士、知合いというんでも何でもないんですから、口を利いたことなんて、そりゃなかったんでしょうけれど、ほんに思えば思わるるとやらだわね。」
半纏着の蘭菊は、指のさきで、火鉢の縁へちょいと当って、
「お稲ちゃんの方でも、嬉しくない事はなかったんでしょう。……でね、内々その気だったんだって、……お師匠さんは云うんですとさ、――隣家の女房さんの、これは談話よ。」
まだ卒業前ですから、お取極めは、いずれ学校が済んでからッて事で、のびのびになっていたんだそうですがね。
去年の春、お茶の水の試験が済むと、さあ、その翌日にでも結納を取替わせる勢で、男の方から急込んで来たんでしょう。
けれども、こっちぢゃ煮切らない、というのがね――あの、娘にはお母さんがありません。お父さんというのは病身で、滅多に戸外へも出なさらない、何でも中気か何からしいんです――後家さんで、その妹さん、お稲ちゃんには叔母に当る、お婆さんのハイカラが取締って、あの娘の兄さん夫婦が、すっかり内の事を遣っているんだわね。
その兄さんというのが、何とか云う、朝鮮にも、満洲とか、台湾にも出店のある、大な株式会社に、才子で勤めているんです。