Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじのらくがき
障子の落書
寺田 寅彦
Lesen Sie 障子の落書 (しょうじのらくがき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.170 Zeichen · 7 Bildschirme
妻と下女とをかわるがわる手伝いにやっていたが、立入って世話しているとまた癪にさわる事が出来て、罪もない妹に当りちらす。しかし宅へ帰って考えるとそれが非常に気の毒になって矢も楯もたまらなくなる。こんな工合で不愉快な日を送っているうちに病人は次第に悪くなってとうとう亡くなってしまった。病院から引取って形ばかりでも葬式をすませ、妹と姪とを自宅に引取るまでの苦労を今更のように思い浮べてみる。
殺風景な病室の粗末な寝台の上で最期の息を引いた人の面影を忘れたのでもない、秋雨のふる日に焼場へ行った時の佗しい光景を思い起さぬでもないが、今の平一の心持にはそれが丁度覚めたばかりの宵の悪夢のように思われるのである。
妹を引取って後も、郷里との交渉やら亡き人の後始末やらに忙殺されて、過ぎた苦痛を味わう事は勿論、妹や姪の行末などの事もゆるゆる考える程の暇はなかった。妻と下女とで静かに暮していた処へ急に二人も増したのみならず、姪はいたずら盛りの年頃ではあり、家内は始終ゴタゴタするばかりでほとんど何事も手につかぬような有様であった。それがどうやら今日までで一先ず片付いて妹はともかく国の親類で引取る事になった。