Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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となりむらのこ

隣村の子

小川 未明

Lesen Sie 隣村の子 (となりむらのこ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.793 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、これは私の生まれた、隣村の名だ。」と、良吉は、その文字に吸いつけられたように近づきました。そして、もっとなにか書いてなかろうかと、さがしたけれど、それしか文字が書いてありませんでした。

「だれが、書いたのだろうな。」と、彼は、さびしさのうちにも、なつかしさを感じたのであります。

彼は、また、思いました。

「きっと、自分のような、村から出た子供だろう。そして、ここを通るときに、ふと故郷のことを思い出したのだろう。」

なぜなら、良吉の村も、この隣の村も、青い青い、海に面した村であって、夏になると、涼しい風が、このガードを通ってくる風のように、冷たく、かなたの、沖から吹いてきたのだから。

良吉は、しばらく、ぼんやりとして、これを書いた子供の姿を想像していましたが、急に下を向いて、あたりをさがしました。すると半分土にうずもれて、チョークのかけらが、壁のきわに落ちていました。

彼は、それを拾うと、指さきで土を落としました。そして、壁に書いてある、落書きに並べて良吉は、自分の村の名を書き、そのかたわらにM生としたのであります。良吉の姓は、村山であったからです。