Japanische Klassiker mit Furigana
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すずめのみやものがたり
雀の宮物語
田中 貢太郎
Lesen Sie 雀の宮物語 (すずめのみやものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.886 Zeichen · 4 Bildschirme
「あ、そうだ、そうだ、よい処へ気がついたよ」
女と談合をすました男は草餅を三つばかりこしらえて、其の一つの餅の中へ二三本の木綿針を包んで何喰わぬ顔をして女の処へ持って往った。ちょうど夕食の済んだところで女房は長火鉢へ凭れて額を押えており、所天の百姓は腹這いになっていた。
「今日餅をもらったから、一嚥みにやってもらおうと思って持って来た」と、云って紙に包んだ餅を出すと、百姓は喜んで腹が一杯になっておるにも係わらず、蟇が虫を喫うように其の餅を嚥み込んでしまった。
翌朝から百姓の腹のぐあいがおかしくなった。咳をしたり体を動かすことでもあると、腹の中が刺すように痛むので、百姓は起きあがらずに寝ていた。
「お前さん、何うしたの」と女房はしらばくれて聞いた。
「乃公は腹が痛くて動けない」と、百姓は苦しそうに云った。
「そう、それは困ったね、じゃすこし寝ているがいいよ、其のうちに癒るだろう」
其の翌日になっても腹の痛みは退かなかった。百姓はものを喫わずに苦しんでいたが女房は知らん顔をしていた。
其の百姓は奥の縁側の方へ頭をやって寝ていた。何かの拍子にふと庭の方を見ると、藁屑の散らばっている庭前に一羽の雀がいて、それが地の上に転んだり羽を動かして起きあがったり、何か体へ虫でもついていてそれを落しているようにしていた。