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Japanische Klassiker mit Furigana

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かりさかごえ

雁坂越

幸田 露伴

Lesen Sie 雁坂越 (かりさかごえ) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.263 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

そんなおまえじゃあ甲府の方へは出すまいとわたし達がしていても、雁坂を越えて東京へも行きかねはしない、吃驚するほどの意地っ張りにおなりだから。」

と云った。すると源三はこれを聞いて愕然として、秘せぬ不安の色をおのずから見せた。というものは、お浪が云った語は偶然であったのだが、源三は甲府へ逃げ出そうとして意を遂げなかった後、恐ろしい雁坂を越えて東京の方へ出ようと試みたことが、既に一度で無く二度までもあったからで、それをお浪が知っていようはずは無いが、雁坂を越えて云々と云い中られたので、突然に鋭い矢を胸の真正中に射込まれたような気がして驚いたのである。

源三がお浪にもお浪の母にも知らせない位であるから無論誰にも知らせないで、自分一人で懐いている秘密はこうである。一体源三は父母を失ってから、叔母が片付いている縁によって今の家に厄介になったので、もちろん厄介と云っても幾許かの財産をも預けて寄食していたのだからまるで厄介になったという訳では無いので、そこで叔母にも可愛がらるればしたがって叔父にも可愛がられていたところ、不幸にしてその叔母が病気で死んでしもうて、やがて叔父がどこからか連れて来たのが今の叔母で、叔父は相変らず源三を愛しているに関らず、この叔父の後妻はどういうものか源三を窘めること非常なので、源三はついに甲府