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Japanische Klassiker mit Furigana

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おしゃく

雛妓

岡本 かの子

Lesen Sie 雛妓 (おしゃく) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.482 Zeichen · 53 Bildschirme

Aozora Bunko

逸作は四十二の厄歳も滞りなく越え、画作に油が乗りかけている。「おとなしい男、あたくしのために何もかも尽して呉れる男――」だのにわたくしは、何をしてやっただろう。小取り廻しの利かないわたくしは、何の所作もなく、ただ魂をば、愛をば体当りにぶつけるよりしかたなかった。例えそれを逸作は「俺がしたいと思って出来ないことを、おまえが代ってして呉れるだけだ」と悦ぶにしても、ときには世の常の良人が世の常の妻にサービスされるあのまめまめしさを、逸作の中にある世の常の男の性は欲していないだろうか。わたくしはときどきそんなことを思った。

酒をやめてから容貌も温厚となり、あの青年時代のきらびやかな美しさは艶消しとなった代りに、今では中年の威がついて、髪には一筋二筋の白髪も光りはじめて来ている。

わたくしは、その逸作に、雛妓が頻りにときめかけ、縺れかけている小娘の肉体の陽炎を感ずると、今までの愁いの雲はいつの間にか押し払われ、わたくしの心にも若やぎ華やぐ気持の蕾がちらほら見えはじめた。それは嫉妬とか競争心とかいう激しい女の情焔を燃えさすには到らなかった。相手があまりにあどけなかったからだ。