Japanische Klassiker mit Furigana
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おしゃく
雛妓
岡本 かの子
Lesen Sie 雛妓 (おしゃく) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.482 Zeichen · 53 Bildschirme
「やっぱり、男は、男の事業慾というものに同情するの」
と訊くと、逸作は苦しみに締めつけられたように少し狂乱の態とも見えるほどあたり関わず切ない声を振り絞った。
「いや、そうじゃない。そうじゃない」
そして、わたくしの肩をぐさと掴み、生唾を土手の若草の上に吐いて喘ぎながら言った。
「おやじが背負い残した家霊の奴め、この橋くらいでは満足しないで、大きな図体の癖に今度はまるで手も足もない赤児のようなお前によろよろと倚りかかろうとしている。今俺にそれが現実に感じられ出したのだ。その家霊も可哀そうならおまえも可哀そうだ。それを思うと、俺は切なくてやり切れなくなるのだ」
ここで、逸作は橋詰の茶店に向って水を呼んで置いてから、喘ぎを続けた。
「俺が手の中の珠にして、世界で一番の幸福な女に仕立ててみようと思ったお前を、おまえの家の家霊は取戻そうとしているのだ。畜生ッ。生ける女によって描こうとした美しい人生のまんだらをついに引裂こうとしている。畜生ッ。畜生ッ。家霊の奴め」
わたくしの肩は逸作の両手までがかかって力強く揺るのを感じた。
「だが、ここに、ただ一筋の道はある。おまえは、決して臆してはならない。