Japanische Klassiker mit Furigana
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おしゃく
雛妓
岡本 かの子
Lesen Sie 雛妓 (おしゃく) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.482 Zeichen · 53 Bildschirme
しかしその間は七八年間にもせよ、父のこの失態の悔は強かった。父はこの騒ぎの間に愛する妻を失い、年頃前後の子供三人を失っている。何れもこの騒ぎの影響を多少とも受けているであろう。家によってのみ生きている旧家の人間が家を失うことの怯えは何かの形で生命に影響しないわけはなかった。晩年、父の技倆としては見事過ぎるほどの橋を奔走して自町のために造り、その橋によってせめて家名を郷党に刻もうとしたのも、この悔を薄める手段に外ならなかった。
逸作は肉親関係に対しては気丈な男だった。
「芸術家は作品と理解者の外に肉親はない。芸術家は天下の孤児だ」そう言って親戚から孤立を守っていた。しかしわたくしの実家の者に対しては「一たいに人が良過ぎら」と言って、秘かに同情は寄せていた。
「俺はおまえを呉れると先に口を切ったおふくろさんの方が好きなんだが、そうかなあ、矢張り娘は父親に懐くものかなあ」
そう言って、この際、充分に泣けよとばかりわたくしを泣かして置いて呉れた。わたくしはおろおろ声で、「そうばかりでもないんだけれど、今度の場合は」と言って、なおも手巾を眼に運んでいた。
食品が運ばれ出した。