Japanische Klassiker mit Furigana
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エス・オー・エス・ボーイ
難船小僧
夢野 久作
Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme
その片隅の八日巻の時計の下の折釘に、墨西哥かケンタッキーの山奥あたりにしかないようなスバらしく長い、物凄い銀色の拳銃が二挺、十数発の実弾を頬張ったまま並んで引っかかっているのだ。
話は脱線するがこのアラスカ丸の船長はむろん独身生活者で、女も酒も嫌いなんだ。上陸なんか滅多にしないんだ。その代りに応用化学の本家本元の仏蘭西の大学で、理学博士の学位を取っている一種の発明狂と来ているんだ。持っているパテントの数でも十や二十じゃ利かないだろう。みんなこの実験室でヒネリ出したっていうんだから豪勢なもんだろう。去年の冬だっけが、そんなパテントの権利も、巨万の財産も海員擁済会に寄附して、胃癌で死んじゃったが、惜しい人間だったよ。……その時分……昭和二年頃には、小型な、軽い、無尽蔵に強力な乾蓄電池の製作に夢中になっていたっけ。世界中の動力を蓄電池の一点張りにするてんで、誠に結構な話だが、その実験をするたんびに、船中の電動力を吸い集めて、電燈を薄暗くしちまったりヒューズを飛ばしたりするのには降参させられたよ。おまけに舶来の絹巻線が気に入らないと云って、自分で器械を作って絹巻線を製作しては切り棄て、作っては切り棄てる事二万哩。