Japanische Klassiker mit Furigana
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エス・オー・エス・ボーイ
難船小僧
夢野 久作
Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme
ところがブッ倒おれたと見ると直ぐに、兄イ連が舷側に引ずり出して頭から潮水のホースを引っかけて、尻ペタを大きなスコップでバチンバチンとブン殴るんだから、息のある奴なら大抵驚いて立ち上る。
「見やがれ。コン畜生。死ばるんなら手際よくクタバレ」
といった調子である。残酷なようであるが、限られた人数で限られた時間に仕事をしなければ、機関長の沽券にかかわるんだから止むを得ない。所謂、近代文明って奴の裡面には到る処にこうした恐ろしい地獄が転がっているんだ。勿論、俺自身が、その中からタタキ上げて来たんだから部下に文句は云わさないがね……。
その俺が横浜桟橋のショボショボ雨の中に突立って、積込む石炭を一々検査していると汗と炭粉で菜葉服を真黒にした二等機関士のチャプリン髭が、喘ぎ喘ぎ駈け降りて来て「トテモ手が足りません。何とかして下さい」と云うんだ。
「馬鹿。そう右から左へ人が雇えるか」
と一喝すると「それでもデッキの方で誰か一人でもいいんですから」と泣きそうな顔をする。
「馬鹿ッ。デッキの方だって相当忙がしいんだ。殴られるぞ」
「……でも船長室のボーイが遊んでいます」
「あんな奴が何の役に立つんだ」