Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

た。……船長と運転手の計算も、又は俺の腹加減までもが、ガラリと外れてしまっていたのだ。

そればかりではない。

船に乗ってアラスカ近海へ廻わった経験のある人間でなければ、あの近海の波の大きさと、恐ろしさはチョット見当が付きかねるだろう。こんな処でイクラ法螺を吹いても、あの波濤のスバラシサばっかりは説明が出来ないと思うが、何もかも無い。これが波かと思う紺青色の大山脈が、海抜五千米突の聖エリアス山脈を打ち越す勢いで、青い青い澄み切った空の下を涯てしもなく重なり合いながら押し寄せて来る。アラスカ丸は七千噸だから荷物船では第一級の大型だったが、たとい七千噸が七万噸でもあの波に引っかかったら木っ葉も同然だ。

一つの波の絶頂に乗上げると、岩と氷河で固めた恐ろしい恰好の聖エリアスが直ぐ鼻の先に浮き上る。文句なしに手が届きそうに見える。これは、空気が徹底的に乾燥しているから、そんなに近くに見えるんだが、水蒸気の多い日本から行くと特別にソンナ感じがするんだ。望遠鏡で覗いてもチットも霞んで見えない。山腹を這う蟻まで見えやしまいかと思うくらいハッキリと岩の角々が太陽に輝いている……と思う間に、その大山脈の絶頂から真逆落しに七千噸の巨体が黒煙を棚引かせて辷り落ちる。