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Japanische Klassiker mit Furigana

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エス・オー・エス・ボーイ

難船小僧

夢野 久作

Lesen Sie 難船小僧 (エス・オー・エス・ボーイ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.169 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

昨日から固定していたんだか、夜の間に逆戻りしたんだかわからない。

「どうしたんだ」

「シッカリしろ」

とか何とか運転手と文句を云い合っているうちに、昨日の朝の通りの白い太陽がギラギラと出て来た。空気が乾燥しているから岸の形がハッキリしている。山腹を這う蟻の影法師まで見えそうである。

流石に沈着な船長もコレには少々驚いたらしい。船橋に上って、珍らしそうに白い太陽を凝視している。その横に一等運転手がカラも附けないまま寒そうに震えている。

「逆戻りしたんだな」

「イヤ。波に押し戻されているんです。十八節の速力がこの波じゃチットモ利かないんです」

「そんな馬鹿な事が……」

「いや実際なんです。去年の波とはタチが違うらしいんです」

「おんなじ波じゃないか」

「イヤ。たしかに違います」

一等運転手と船長がコンナ下らない議論をしているところへ、俺は危険を冒して梯子を這い登って行った。船長は、真向いの聖エリアスの岩山に負けない位のゴツゴツした表情で云った。

「モウ……スピードは出ないな。機関長……」

「出ませんな。安全弁が夜通しブウブウいっていたんですから」

「……弱ったな……」

この船長が、コンナ弱音を吐いたのを俺はこの時に初めて聞いた。