Japanische Klassiker mit Furigana
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あめあがり
雨あがり
山之口 貘
Lesen Sie 雨あがり (あめあがり) von 山之口 貘 (やまのくちばく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 1.503 Zeichen · 3 Bildschirme
その日、朝は、どしゃ降りなのであったが、午後になると、からりと晴れて、縁側に陽がさした。硝子戸を開け放って、ぼくは机を前にしていた。女房は、ぼくの傍で繕いものをしていた。木戸の風鈴が、鳴りそこないみたいに鳴って、ミミコが帰って来たのである。
「ただいまあ」
「おや、おかえんなさい」
女房は、そういいながら、針をおいて、縁側に出たのであるが、
「あら、この子、合羽どうしたの? 学校において来ちゃったの?」といった。
ミミコは、いわれてはじめて気がついたらしく、「あっ、そうだ」といいながら、小さな手を振りあげて、小さな頭をおさえてみせたのである。
「おばかさんね、合羽を忘れてくるなんて、なくなったらどうするの」
母親は、そのように叱ったり、明日は忘れずに合羽を持って帰るよう念をおしたりしていたのだが、ぼくの眼にはいかにも、雨あがりの午後とでも名づけたいような、母子の風景なのであった。
ミミコが、合羽を忘れて帰って来たのは、いまのところそのときだけのことで、合羽もなくならずに済んだのであるが、ぼくの友人の家庭では、中学へ通っているひとり息子のために、十何本も傘を買わされたとの話をきいたことがあった。