Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あめのやまぶき

雨の山吹

山本 周五郎

Lesen Sie 雨の山吹 (あめのやまぶき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.433 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「事実だとすると、捨ててはおけませんね」

とうてい信じられなかったが、又三郎はそう云って兄を見た。兵庫の頬がぴくぴくとひきつった。

「こんどもまたおまえに頼みたいんだが、勤めのほうの都合はつくだろうか」

「遠いですからね、日数のかかるのが問題だが、しかし殿の御在国ちゅうではなし、多少の無理をすれば暇を貰えると思います」

「私からも願いを出そう、理由をなんとするかだが……」

「それは私が考えますが、いってみて、慥かに二人だったとしたら、どうしますか」

「わかってるじゃないか、動木はもちろん汝生も国法を犯している、おそらく二人で自決するだろうが、みれんなまねをするようなら斬るほかはない」

「――汝生もですか」

「あれはいちど死んでいる筈だ」兵庫の声は怒りのために震えた、「――これがもし世間に知れたらどうなる、葛西の家名はもちろんおまえの身も無事には済まぬぞ」

動木は公金を使って出奔した。捉まれば切腹はまぬかれない。汝生の死は又三郎が確認し、遺骨まで持ち帰って埋葬した、これも発覚すれば又三郎の罪になる。

「両親の恩義はともかく、同じ家の中できょうだい同様に育ちながら、こんな迷惑をかけて生きていられる筈はない、そんなことは許される道理がない、自決させるか斬るか、どちらか一つだ、わかったな又三郎」