Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
三
はははは。しかしこればっかりはいくら勧めたって、女の方でも地体自分でやる気がなければ出来るもんじゃアない。まア二人とも同じような人間がうまく一緒になったんだね。それだから無事にやって行けるんだ。それにはいろいろな事情や歴史がある……。」
中島は問われるままに初めは冗談半分口から出まかせな事を言っていたが、する中、いつかしんみりした心持になって来て、平素誰にも話をする事の出来ない過去半生の来歴を心の行くかぎり話して見たくてならないような気がし出した。
「ねえ、玉ちゃん。まだ学生の時分だった。僕がね……。」と言出したが、その時お玉は横町のとある家の出窓に貸間の札の出してあるのを見付けて、
「ちょいと、わたし聞いて見るわ。」と突然立止った。中島は話の腰を折られ、夢から覚めたような眼付をして、お玉が向の家の格子戸をあける後姿をぼんやり眺めていた。
三
中島はその名を重吉というのである。重吉が私立の或大学を出たのは大正六、七年の頃で、日本の商工界は欧洲戦争のために最も景気の好い時代であった。重吉はわけなく就職口を見付け、或商会から広告代りに発行する雑誌の編輯係になったが、仕事には敏活でないくせに誠実でもなく、出勤時間にもおくれがちというので、一年過ると間もなく解雇となった。