Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
」
「じゃ、もう柳橋じゃないのね。」
「お照、お前は今どこにいるのだ。御徒町のお爺さんの処にいるんじゃないのか。」
お照は俄に当惑したらしい様子で、「今日はアノ何なの――ちょっとそこのお友達の内へ遊びに来ているんですよ。」
「何しろここでお前に逢おうとは思わなかった。お照、すぐそこだから帰りにちょっと寄っておくれ。お父さんはすぐそこの炭屋と自転車屋の角を曲ると三軒目だ。木村ッていう家にいるんだよ。曲って右側の三軒目だよ。いいか。」
その時戸を明けて貸自動車屋の運転手らしい洋服に下駄をはいた男が二人、口笛でオペラの流行唄をやりながら入って来たので、兼太郎はただ「いいかねいいかね。」と念を押しながら本意なくも下駄をぬいで上った。お照は気まりわる気に軽く首肯いて見せるや否や男湯の方からは見えないズット奥の方へ行ってしまった。
茶の間の長火鉢で惣菜を煮ていた貸間のかみさんは湯から帰って来た兼太郎の様子に襖の中から、
「田島さん。御飯をあがるんなら蒸して上げますよ。煮くたれててよければお汁もあります。どうします。」
「お汁は沢山だ。」と兼太郎は境の襖を明けて立ちながら、「おかみさん、不思議な事もあるもんだ。