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Japanische Klassiker mit Furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

隣の家から惣菜の豆煮る匂いの漂い来るにわたしは腹立たしく窓の障子をしめた事もあった。かつてはわれも知った団欒の楽しみを思い返すに忍びなかったからである。庭に下りて花を植る時、街の角に立って車を待つ時、さては唯窓の簾を捲かんとする時吹く風に軽く袂を払われても忽征人郷を望むが如き感慨を催す事があった。かくては風よりも月よりも虫の声よりも独居の身に取って雨ほど辛いものはあるまい。わたしは或日の日記に、

久雨尚歇まず軽寒腹痛を催す。夜に入つて風あり燈を吹くも夢成らず。そゞろに憶ふ。雨のふる夜はたゞしん/\と心さびしき寝屋の内、これ江戸の俗謡なり。一夜不レ眠孤客耳。主人窓外有二芭蕉一。これ人口に膾炙する少杜の詩なり。また憶ふ杜荀鶴が、半夜燈前十年事。一時和レ雨到二心頭一。然り雨の窓を打ち軒に流れ樹に滴り竹に濺ぐやその響人の心を動かす事風の喬木に叫び水の渓谷に咽ぶものに優る。風声は憤激の声なり水声は慟哭なり。雨声に至りては怒るに非ず嘆くに非ず唯語るのみ訴ふるのみ。人情千古易らず独夜枕上これを聴けば何人か愁を催さゞらんや。いはんやわれ病あり。雨三日に及べば必ず腹痛を催す。