Japanische Klassiker mit Furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lesen Sie 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.414 Zeichen · 289 Bildschirme
今夜はこれからすぐ日比谷へ行こうかと思っているのよ。今日お午過ぎちょっと行って話はして来たんだし、それに様子はもうわかっているんだから。」
「今夜はもう晩いじゃないか。」
「まだ十二時ですもの。電車もあるし、日比谷のバーは随分おそくまでやってるわ。夏の中はどうかすると夜があけてよ。」
お照は出方の夫婦と兼太郎に送り出されて格子戸を明けながら、
「まアいいお月夜。」
建込んだ家の屋根には一昨日の雪がそのまま残っているので路地へさし込む寒月の光は眩しいほどに明るく思われたのである。
「なるほどいいお月夜だ。風もないようだな。」と上り框から外をのぞいた兼太郎は何という事もなくつづいて外へ出た。兼太郎は台処の側にある手水場へ行くよりも格子戸を明けて路地で用を足す方が便利だと思っているので寝しなにはよく外へ出る。
お照は二、三歩先に佇んで兼太郎を待っていたが、やがて思出したように、「お父さんあの人が芝居の出方なの。どうしてもそうは見えないわね。」
「むッつりした妙な男だ。もう一年越し同じ家にいるんだが、ろくぞっぽ話をしたこともないよ。」
「何だか御亭主さん見たようじゃないわね。