Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきとどろ
雪と泥
山本 周五郎
Lesen Sie 雪と泥 (ゆきとどろ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.993 Zeichen · 40 Bildschirme
二人は同じ二十五歳で、主馬のほうが老けているため、いっしょにいると二つ三つも若くみえたが、独りになるとその若さがにわかに消えて、みじめなくらいしぼんだ表情になった。柔和というよりも臆病そうな眼つきや、鮮やかにはっきりした眉や、小さな厚い唇もとなどにも、育ちのよい坊ちゃん臭さと、やはり小心な臆病らしさとが入り混っていた。
――おやじ殿は理財家だからな。
主馬の言葉が、錆びた釘のように、折之助の耳に突刺さっていた。
――金箱には小判がうなっている。
主馬は出まかせを云ったのではなかった。小出の家には慥かに金がある、父の又左衛門は偏執的な吝嗇漢で、ひそかに金貸しまでやっていた。初めは旗本なかまに頼まれて融通するくらいだったが、謝礼を貰うことから癖がついたようで、いつかしら高利を取って貸すようになった。――父の吝嗇は生れつきのものらしい、昔から財布は自分で握っていて、こまごました日用の雑費さえ、母の自由にはならなかった。母は反故紙の二寸角に切ったのを与えられていて、それに必要な品目と代価を書き、父のところへ持っていって金を貰うのである。すると父は入念にその伝票を読み、渋い顔をしながら、ふところからおもむろに財布を出す。