Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのやどり
雪の宿り
神西 清
Lesen Sie 雪の宿り (ゆきのやどり) von 神西 清 (じんざいきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.995 Zeichen · 51 Bildschirme
やがてその日も暮れました。夜に入って風は南に変ったとみえ、百万遍、雲文寺のかたの火焔も廬山寺あたりの猛火も、次第に南へ延びて参ります。渦巻きあがる炎の末は悉く白い煙と化して棚びき、その白雲の照返しでお庭先は、夜どおしさながら明方のような妙に蒼ざめた明るさでございます。殊に凄まじいのは真夜中ごろの西のかたの火勢で、北は船岡山から南は二条のあたりまで、一面の火の海となっておりました。
ようようにその夜も無事にすぎて、翌る二十七日には、朝の間のどうやら鬨の声も小止みになったらしい隙を見計らい、東の御方は鶴姫さまと御一緒に中御門へ、若君姫君は九条へと、青侍の御警固で早々にお落し申上げました。やれ一安心と思ったが最後、気疲れが一ときに出まして、合戦の勢がまた盛返したとの注進も洞ろ心に聞きながし、わたくしは薙刀を杖に北の御階にどうと腰を据えたなり、夕刻まではそのまま動けずにおりました。この日の戦も酉の終までには片づきまして、その夜は打って変ってさながら狐につままれたような静けさ。物見の者の持寄りました注進を編み合わせてみますと、この両日に炎上の仏刹邸宅は、革堂、百万遍、雲文寺をはじめ、浄菩提寺、仏心寺、窪の寺、水落の寺、安居院の花の坊、あるいは洞院殿、冷泉中納言、猪熊殿など、夥しいことでございましたが、民の迷惑も一方