Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのやどり
雪の宿り
神西 清
Lesen Sie 雪の宿り (ゆきのやどり) von 神西 清 (じんざいきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.995 Zeichen · 51 Bildschirme
姫があの寺へ移られたことは直きに耳に入ったからな。そしてあの小径この谷陰と、姫をさらう手立をさまざまに考えた。どういう積りかは知らぬが、仰山に薙刀までも抱えておった。いや飛んだ僧兵だわい。その三晩目に、姫を寝所から引っさらうことは、案外に赤子の首をひねるよりた易いことが分った。手順は立派に調った。そなたなんどは高鼾のうちに手際よくやってのけられる。そこで俺は馬鹿々々しくなってやめてしまった。よくよく考えてみたところ、俺の欲しいのは姫ではなくして事であった。それが生憎『事』ほどの事で無いのが分ったまでだ。姫のうえは気の毒に思う。だが所詮、俺が引っさらって見たところであの姫の救いにはならぬ、この俺の救にもならぬ。……
「それ以来、俺は毎日この丘へ登って、焼跡を見て暮した。何か事を見附けだそうとしてだ。どこぞで火煙の立つ日は心が紛れた。それのない日は屈托した。さて、恋が事でなかったとすればお次は何だ。俺はまず政治というものを考えてみた。今度の大乱の禍因をなしたのは誰だ、それを考えてみようとした。それで少しは心が慰さもうかと思ったのだ。世間では伊勢殿が悪いという。