Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くものこみち

雲の小径

久生 十蘭

Lesen Sie 雲の小径 (くものこみち) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.634 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

白川はむしょうに腹がたってきて、

「話をさせるという約束だったろう。霊媒にさわるぐらいが、なんだ」

主事は弱りきった顔になって、

「ねえ、あなた、どうかまあ、落着いてくださいよ。霊のいられるところと現世との間に、無間のへだたりがあるということをですなあ……」

いい加減なことをいって宥めにかかったが、白川はこじれてしまって、主事のいうことなど相手にしない。

「いろいろな所作をして見せるが、苦しんでいるところなぞ、見せてもらわなくても結構だよ。なんの霊だか知らないが、おだやかに話ができないものなのか」

主事は大袈裟にうなずいて、

「ごもっとも、ごもっとも……失礼ですが、よっぽど深くお愛しになっていられた方とみえます。まったくどうもお気の毒な……でもまあ、この手をお離しなすって。そうギュッと掴んでいられては、話もなにもできやしませんから」

そういうと、れいの尤もらしい口調になって、

「では、こういたそうではありませんか。ともかくこの方に、じぶんはもう死んだのだという自覚を与えていただきましょう。お説のとおり、本来、霊に痛覚などあるはずはないので、肉体を持っていたときの記憶……アフター・イメージですか、まあそういった架空の肉体の苦患を、あるかのごとくに悩んでいるわけなのですから、お前は死んだのだと、はっきりわからせておあげ