Japanische Klassiker mit Furigana
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らいほうとうものがたり
雷峯塔物語
田中 貢太郎
Lesen Sie 雷峯塔物語 (らいほうとうものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.606 Zeichen · 45 Bildschirme
、しかし、この地方には白という姓の者はないという事であった。
捕卒は家の前へ立って手筈を定め、門を開いて入って往った。扉はなくなり簷は傾き、磚の間からは草が生え茂って庭内はひどく荒れていて、二三日前に見た家屋の色彩はすこしもなかった。許宣は驚くばかりであった。
捕卒は別れ別れになって室の中へ入った。荒れ崩れて陰々として見える室の中には、人の足音を聞いて逃げる鼠の姿があるばかりで、どこにも人の影はなかった。別れていた捕卒はいつの間にかいっしょになって、最後の奥まった離屋に往った。そこは一段高い室になって、一人の色の白い女が坐っていた。着物の赤や青の綺麗な色彩が見えた。その女は牀の上に坐っているらしかった。捕卒は不審しながら進んで往った。
「われわれは、府庁からまいった者だが、その方は何者だ、白氏なら韓大爺の牌票がある、その方が許宣にやった銀のことに就いて尋ねることがあるから、いっしょに伴れて往く」
女はじっと顔をあげたが、何も言わなければ驚いた容子もなかった。
「あのおちつきすましたところは、曲者だ、捉えろ」
捕卒は一斉に走りかかって往った。と、同時に雷のような一大音響がした。