Japanische Klassiker mit Furigana
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かみなりもんいほく
雷門以北
久保田 万太郎
Lesen Sie 雷門以北 (かみなりもんいほく) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.839 Zeichen · 44 Bildschirme
――その時分わたしは、落語も講釈も義太夫も、すべてそうしたものの分らない低俗な手合のみの止むをえず聞くものを浪花ぶしだとおもっていた。そう思ってあたまでわたしは馬鹿にしていた。――ということはいまでも決してそうでないとはいわない……(ついでながらわたしの始終好きでかよった寄席は「並木亭」と「大金亭」だった。ともに並木通りにあって色もの専門だった。――色もの以外、講釈だの浄瑠璃だのへはごくまれにしか足ぶみしなかったわたしは、だから吾妻橋のそばの「東橋亭」、雷門の近くにあった「山広亭」「恵比寿亭」そうした寄席にこれという特別の親しさをもっていなかった。――が「山広亭」、「恵比寿亭」とおなじく、いまはもう「大金亭」も「並木亭」もうちよせた「時代」の波のかげに、いつとなくすがたを消した。残っているのは「東橋亭」だけである。)
いまでこそ「聚楽」をはじめ、「三角」あり、「金ずし」あり、「吉野ずし」あり、ざったないろ/\の飲食の場所をそこがもっているが、嘗てははえないしもたやばかりの立並んだ間に、ところ/″\うろぬきに、小さな、さびしい商人店――例えば化粧品屋だの印判屋だののはさまった……といった感じの空な往来だった。