Japanische Klassiker mit Furigana
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れいこんだいじゅうごうのひみつ
霊魂第十号の秘密
海野 十三
Lesen Sie 霊魂第十号の秘密 (れいこんだいじゅうごうのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.100 Zeichen · 86 Bildschirme
今や場内は異様な妖気に包まれてしまった。これが東京のまん中であるとは、どうしても考えられなかった。
そのとき、来会者がざわめいた。
階下の正面の席から、ぬっと立ち上った青年がいた。その青年は、ふらふらと前に歩きだしたのだ。近くの席の者は見た。その青年の目は閉じていたことを。
青年はまっすぐに歩きつづけたので、ついに舞台の下まで行きついた。そこで行きどまりとなったと思ったら、青年の身体がすーッと煙のように上にのぼった。あれよあれよと見るうちに、青年は舞台の上に自分の足をつけていた。
来会者席は、ふたたび氷のような静けさに返った。今見たふしぎな現象について、適確な解釈を持つひまもなく、次の奇蹟が待たれるのであった。かの青年は、亡霊の如くすり足をして、聖者の席に近づきつつあった。
このときの治明博士の焦燥と驚愕とは、たとえるもののないほどはげしかった。彼は席から立って、舞台のまん中へとんでいきたかった。だが、どういうわけか、彼の全身はしびれてしまって、立つことができなかった。そのうちに彼は、重大な発見に、卒倒しそうになった。というのは、客席から夢遊病者のようにふらふらと舞台へあがって来た青年こそ、隆夫にそっくりの人物だったからだ。