Japanische Klassiker mit Furigana
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きりのなか
霧の中
豊島 与志雄
Lesen Sie 霧の中 (きりのなか) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.920 Zeichen · 40 Bildschirme
柴の小枝と、四つ匐いの姿とのために、猿は正夫に気づかないらしい。正夫は椎の木の下まで行くことが出来た。すぐ上で、多くの猿がないたり、飛びまわったりしている。そのうちに小猿を一つ、正夫は生捕るつもりなのだ。だがまだ届きそうもない。椎の木の大きな幹に登れるかどうか、考えてみたが……その時、ふいに、正夫の肩にとびついたものがある。飛びつくと同時に、鋭い声をたてて木にかけ登り、それが合図か、多くの猿が一時になきたて、風が吹くような音を立てて、枝から枝へ、遠くに逃げていってしまった。正夫はそこへ一人ぽかんとしていた。
「ばかな奴だよ、逃げなくってもいいじゃないか。」と正夫はいった。
「君の方がばかさ、四つん匐いになったりして。平気で歩いていけばいいんだ。」とチビはいった。
「そんなことしたら、なお逃げちまうよ。」
「逃げやしないよ。初めから人間だと分っていれば、案外向うは平気なんだ。それを、四つん匐いなんかになってるんで、飛びついてみて、びっくりしたんだよ。」
正夫は暫く考えていたが、突然云った。
「ああ分ったよ。」
「何が?」
「君はいつもそんな考え方ばかりしているんだ。