Japanische Klassiker mit Furigana
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ろはんせんせいのおもいで
露伴先生の思い出
和辻 哲郎
Lesen Sie 露伴先生の思い出 (ろはんせんせいのおもいで) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.158 Zeichen · 9 Bildschirme
しかしもしそれだけであったならば、まことに惜しいことをしたとわたくしはその時に感じた。先生が好きなものを自由に読んでいられても、江戸時代の文芸史の講義ができなかったはずはない。いわんや先生の目から見てくだらない作家や作品は、ただ名前をあげる程度に留めておき、先生が価値を認められる作家や作品だけを大きく取り扱ったような文芸史ができたならば、かえって非常に学界を益したであろう。日本の文芸の作品は世界的な広い視野のなかでもっと厳重に淘汰されてよいのである。先生が思い切ってそれをやろうとせられなかったことは、今考えても惜しい気がする。
先生が京都で講義せられていたときのことを後に成瀬無極氏から聞いたことがある。成瀬氏は大学卒業後まだ間のないころであったが、すでにドイツ文学の講師となっており、同僚の立場から先生を見ることができたのである。氏によると、先生は非常にきちょうめんで、大学の規定は大小となく精確に守られた。同僚の教師たちがなまけて顔を出していないような席にも、規定とあれば先生は必ず出席せられた。何かの式であるとか、学友会の遠足であるとか、すべてそうであった。