Japanische Klassiker mit Furigana
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あおいひも
青い紐
田中 貢太郎
Lesen Sie 青い紐 (あおいひも) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.592 Zeichen · 11 Bildschirme
その二人は前晩泊った温泉町から電報を打って停車場もよりの家へ某事を頼んであるので、その家へ往って夜を明かし、己の家へは翌朝の汽車で帰ったような顔をして帰ると云うことになっていた。彼は二人を見送ってから車を雇い、随筆家の友人の柿もいっしょに積んで、大塚の家へ帰ったことを思いだした。
そこへ十八九に見える姿の好い女給が勘定書を持って来た。彼はインバの兜衣から蟇口を出してその金を払うとともにすぐ腰をあげた。
哲郎は電車に揺られてうっとりとなりながら女のことを考えていた。その女の中には彼の洋画家の細君であると云う女の、想像になった長い骨を蒼白くくるんだ肉体も浮んでいた。
一二年前に横浜の怪しい家で知った独逸人の混血児と云う女の肥った肉体もその中に交っていた。それ等の女の肉体は電車の動くたびに動くような気がした。
客のすくない電車の中は放縦なとりとめもないことを考えるにはつごうがよかった。彼の頭の中には細っそりした小女の手首の色も浮んで来た。
「……黒門町」
哲郎は夢から覚めたように眼を開けて己と云う物に注意してから、今度は車の前の方へ眼をやった。そして、彼は次に来る広小路を乗りすごさないようにと思った。