Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのいきのあと

青春の息の痕

倉田 百三

Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

そのなかからあの「小さき花」の訳書などもできたのですから尊いと思います。フランシスのものなどこそローマンスを求める心や、ドキュメントを渉る心などで読まれるべきものではなく、己れの日々の生活に愛と忍びとの味を沁み出させんとの実践の気持ちでしかせられなくてはなりませんね。天香さんなどはフランシスのとおりに行なっていられます。たしかに聖者という感じがいたします。天香さんは昔西村家という待合に十何年間も住んでいられました。今の勝淳さんという一燈園のクララともいうべき尼は、昔の西村家の仲居でした。品のいい静かな婦人です。一燈園の二階の婦人の室には大小をはさんだりっぱな武士の絵姿を軸物にして懸けてあります。これは勝淳さんの祖父の肖像だそうです。私が一燈園にかえってあくる朝は大雪で、林も垣根もま白になりました。私は顔を洗いに庭に出ますと、そこに勝淳さんが、白雪の重たく降るなかに、立ちつくして、天を拝しつつ、指を輪のようにして黙って祈りの姿でいました。私はその気高い、切髪にした四十幾つの女の祈りの姿を忘れることができません。

また一燈園の仏壇に飾られてある観音の絵像は、西村家の娘なつ子さんの似顔です、なつ子さんは二十四で、四年前になくなりました。