Japanische Klassiker mit Furigana
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あおきのしゅっきょう
青木の出京
菊池 寛
Lesen Sie 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.513 Zeichen · 43 Bildschirme
初めて青木を発見したのは、ほんの二、三間前であったのだから、青木が雄吉に近よるのは、二、三秒もかからなかった。雄吉の心持にも劣らないほどの大きな激動が、青木の心のうちにも、存在しないはずはなかった。その上、青木は雄吉のほとんど仇敵に対するような、すさまじい目の光を見ると、心持瞳を伏せたまま近よった。
二人は目を見合わした。雄吉の目は相手に対する激しい道徳的叱責と、ある種の恐怖に燃えていた。青木の目は、それに対して反抗に輝きながら、しかも不思議に屈従と憐憫を乞うような色を混じえていた。二人はそれでも頭を下げ合うた。
「やあ!」雄吉は、硬ばったような声を出した。
「やあ!」青木は、しわがれて震える声を出した。雄吉は、さっきから青木に対して、どんな態度を取るべきかを、必死に考えていた。青木の出京! それは彼にとって、夢にも予期しないことだった。しかも、その青木と不用意に、銀座通りで出会すなどということは、彼の予想すべき最後のことであった。彼は狼狽してはならないと思った。彼は過去において、青木と交渉したことによって、自分の人生を棒に振ってしまうほどの、打撃を受けていた。